鹿児島県大隅半島。海岸線のアップダウンの道を走り去り、山間部に入って長い坂道を上る。遥か先の小高い山の上に、遠目で見てもびっくりするほどの巨大で頑丈なパラボラアンテナが見え始めてくる。更にその先、曲がりくねった坂道が続く。
途中、周りに畑のようなものはあまり見当たらないのに、道路には「登坂車線」が多く設定されている。他の地域のいわゆる広域農道とは違い、ロケットやその他の搬入のために作られているのだろう。
上りきって平たい道になると、道路左側にゲートが現れる。セキュリティゲートで見学希望の旨を伝えると、「はーい、どうぞー」と暖かく迎えてくれる。
この内之浦宇宙空間観測所は、数ある宇宙開発関連施設の中でも歴史をもつ施設です。
1962(昭和37)年東京大学生産技術研究所の付属施設として建設され、その後、旧宇宙科学研究所(ISAS)に編制され、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との統合に伴い、現在、同機関の内之浦宇宙空間観測所になっています。
科学観測ロケットや科学衛星の打上げ、それらの追跡とデータ取得などの業務を行っています。
さて、ゲートをくぐり急坂を上っていくと、まず初めに現れたのは、巨大なロケットがそのまま展示されているところ。
その大きさに舞い上がりながら、それをバックにまずは記念撮影。
車内に戻り、次は直径34mの超巨大なパラボラアンテナを持つテレメーターセンターとコントロールセンターへ。敷地が広大なので車や自転車が便利です。
来る途中で見えていたアンテナはその大きさを誇示していたが、真下で見る34mパラボラは息をのむほどの圧巻の一言につきる。
台風銀座と呼ばれるほど台風の接近の多い南九州。部材から耐久度の高い丈夫なものを使用しており、瞬間風速90mの強風にも耐えられるようにとても頑丈な造りになっている。巨大な構造物が見せるパワーの大きさに感動する。
周りを見回せば、直径20m、10mのパラボラアンテナが点々と立ち並ぶ。
三つの巨大なアンテナが山の稜線に沿って設置されているのは広々としていて清々しく、不思議なことに心落ち着く眺めでした。
次はミューセンターと呼ばれるロケット発射施設へ。
ロケット組立室、ロケット発射装置、発射管制塔棟(半地下)から成っている。入構不可の移動式フェンスが張ってあったのだが、間近まで近づくことができる。ロケット発射装置は海に向かって傾斜しており、これは陸地を保護するためだということである。打ち上げ時の液体燃料の燃焼から発射装置を守るために分厚いコンクリート壁が設置されているが、広い面積で焦げているのが見える。
凄まじい熱と温度、荒々しい地響きを想像する。
ゲート付近にある宇宙科学資料館は、日本の今までのロケット開発から打ち上げた人工衛星関係の資料が実物、模型とともに展示されている、幼児から大人まで楽しめる施設。
その展示の中に興味深いパネルと記述がありました。
昭和頃の古いものですが、ロケットを運搬途中の職員が地元の人から差し入れを受けている写真です。
町の人がこの観測所を誇りに思い、我が町にあることを誇りに思い、少しでも何か役立ちたいということから、小さい差し入れをしてくれるということでした。
この内之浦宇宙観測所では日本で最初の人工衛星「おおすみ」(大隅半島にちなんでいる)を打ち上げ以来、多くの人工衛星、探査機、観測ロケットが打ち上げられています。
話題の小惑星探査機「はやぶさ」もこの内之浦で打ち上げられました。
来る途中に発見した、内之浦市街地のパチンコ店の大きなロケット型の電飾看板。「宇宙と黒潮のまち」の道路標識看板。タクシー営業所「銀河タクシー」。肝付町役場の公会堂「内之浦銀河アリーナ」。
観測所は町の人々に愛されているのだなぁと実感した内之浦宇宙観測所探訪です。