沖縄旅行記(その4)

10月18日(雨)

 最終日はあいにくの雨模様。さすがに南国、と言った感じの少し激し目の雨である。

 沖縄で古くから行われていた藍染めや水牛を使った製糖・琉球音楽を紹介している「琉球村」へ。ここは昔ながらの沖縄を再現した施設で、入場してすぐの大ホールでは古くからお祭りなどで踊られる「エイサー」を披露していた。
 観客も演者に促されて、手を左右にひらひらさせて踊るのだが、これがけっこう楽しい。

 沖縄県民は老若男女を問わず、何か楽しくなると三線(さんしん)を弾きだして踊るそうである。私も多少ではあるが、その気持ちが分かるような気がした。
 この村が持つ特有の雰囲気は、ゆっくりと流れる「沖縄時間」を殊更に魅力あるものに感じさせてくれた。
 その後、2000年に世界遺産に登録された「琉球王国のグスク及び関連遺跡群」のひとつ、小高い丘の上にある「座喜味城跡」を見学する。
 ここは、15世紀に建城されたもので、戦時中は日本軍の高射砲基地、戦後しばらくはアメリカ軍のレーダー基地になっていて、近年になってようやく日本に返還された。なんだか悲しい城である。

 歩を進めてゆくと、柔らかな曲線を描いた城壁が見えて来る。ここの入口にあるアーチ門は現存する沖縄最古の門だそうで、外部からの侵入を防ぐ仕掛けもそのままに残されている。
 このアーチ門を抜けた所が本丸跡になっており、先ほど外側から見上げた城壁の上に登る事ができる。

 当時の人間はそこからの壮大な風景を眺め、潮風を全身に受けながら、何を思いめぐらしていたのだろうか。
 座喜味城跡をおりて、大きな牛の模型が看板の「沖縄ハム」本社製糖工場を見学する。
 ここで作られる黒糖は、サトウキビの汁をアクを取りながら煮詰めていくだけという至ってシンプルな方法で作られる。
 とはいってもその「サトウキビの汁を大量に絞らなければいけない」という作業が大変なのだそうだ。
 その後、さっそく工場内の売店で黒糖を試食もさせてもらい、気に入ったのでお土産用の黒糖をたくさん購入。
 黒糖はたくさんのミネラル分を含むアルカリ食品で、健康ブームのおかげで最近特に人気があるらしい。

 沖縄自動車道を使い空港に向かう途中、米空軍の嘉手納基地の近くを通る。
 その際に、バスガイドさんが沖縄県民の悲しみの心を綴った歌を披露してくれた。
 日米安保や地位協定など、これまで私たちがテレビの中の「ニュース」として見ていた事は、沖縄の人々にとってみれば現実の何者でもない事なのだと深く考えさせられた。

 帰りの機内から、眼下に珊瑚礁に囲まれた沖縄を望む。
 この土地は悲しみと優しさと熱気に満ちていて、優しく五感を揺さぶるような土地だった。
私が「離れたくない」と思ってしまう場所は、それほど多くは無い。
 ここは久々に「帰りたくない」と感じる場所であった。

(写真・文/橋島)